皮膚科診療は単に皮膚のみならず、場合によっては皮膚を通して人間全体を、更には、まわりの環境をも念頭において行う必要があると考えています。従って、皮膚科医のあり方というものが非常に幅の広いものになりますが,これはとりもなおさず、患者さんをきめ細かく診るということになるわけであります。
 とくに私たち開業医は、地域医療の第一線にあって多くのありふれた皮膚病患者に接するわけでありますから,これと積極的に取り組み、きめ細かに、上手に治せる医師でなくてはなりません。
 このためには、たえず研修と経験を重ねて実力を保持することに努め、患者さんに対して十分な説得力をもつことが大切であり、これを地域の人々が評価することであります。
 一方、地域の人々に皮膚に関する認識を深めさせ、皮膚が如何に大切な器官であるかを知って貰うために、皮膚ならびに皮膚科のPRを大いにする必要があると思うわけであります。一般に、これからの医療は、病気や薬、治し方についての説明をよくすることにより、患者さんが自分の病気に対する自覚と、病気を早く治そうという気構えをもっていただくことが大切で、これと平行して病気にならないよう、日頃からの健康教育が何としても必要であり、これが患者さんの為に一番いいのではないかと思う次第であります。
 こうなると医師の職業奉仕は更に大切で、一層幅のあるものになって参ります。
 皮膚科医になって60年近く,別府市で開業するようになって40年を過ぎましたが,最近の情勢は見るに忍びず,いよいよこの様な考えを深くするわけであります。

院長経歴
1926年(大正15年)1月1日別府市生れ。1951年九州大学医学部卒業。1953年東京逓信病院皮膚科勤務。1959年東京大学より医学博士。その後、群馬大学医学部皮膚科助教授、東京皮膚科診療所長および全国理容学園中央高等理容学校講師を経て1968年郷里別府市に開業。現在、医療法人社団鳴海クリニック(皮膚科・形成外科・外科)理事長兼院長。日本皮膚科学会功労会員。
著書に『理容皮膚科学』『皮膚−この大切な器官』『お化粧と皮膚』『皮膚と「こころ」』『スキンケアのために』などがある。